2012年12月7日金曜日

シングルモルトにロックは邪道ですか?

寒くなってきました。
最近、よく家でウィスキー飲んでます。

僕はお酒がそんなに強くないので、量はさほど必要としません。
少ない量で愉しめる『ちょっとリッチなお酒』を探していました。

そこで出会ったのがコレ。


ボウモア12年

シングルモルト・スコッチウィスキーです。

初めてなので、ハーフサイズ(350ml)にしました。

ハーフ瓶でも1,980円と結構なお値段です。
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大きな氷をグラスに用意し、上からトクトクトクとウィスキーを注ぐ。
無色透明の氷と、琥珀色のウィスキーが絡み合い、少しづつ溶け合い、混ざり合う様子をぼーっと眺めるのが大好きです。

なのですが、ここで問題になるのはシングルモルトの”嗜み”の部分。
通の人に言わせると、氷は入れてはいけないのだそうだ。
スコットランド人も顔をしかめるそうだ。僕は英国人の目の前で紅茶を飲むときに、”シュガー・プリーズ”と言って困惑された経験があるがそんな感じだろうか?

村上春樹はこう説明している。
(もしも僕らのことばがウィスキーであったなら)
シングル・モルトの世界には、ワインと同じように、パーソナリティというものが厳然と存在する(中略)。だからスコッチには氷を入れてもいいけれど、シングル・モルトには氷を入れてはいけない。赤ワインを冷やさないのと同じ理屈で、そんなことをしたら大事なアロマが消えてしまうからだ。
つまり、シングル・モルトにはそれぞれに独特の癖があり、そのアロマを楽しむためには冷やさないで、ストレート若しくは常温の水で割りアロマを楽しんで飲む、と。
言わんとすることはワカル。

そういう意味では、僕はシングル・モルト(ボウモア)の一番の魅力を全然理解出来ていない(あるいは気に入っていない)のかもしれない。
しかし、僕は氷を入れてクセが柔らかくなったボウモアがとても好きなのです。それはあたかも、炭酸が3分の1くらいまで抜けたコーラが好きなのと、同じような理屈かもしれない。氷を入れてクセが抜けると、清酒のように滑らかに喉を通って、いくらでも飲めてしまう感じになる。そんな感覚は今まで飲んだ他のウィスキーではありませんでした。

村上春樹はボウモアに関して、同じ本の中でこうも言っている。
実際に飲んでみると、ボウモアのウィスキーにはやはり人の手のぬくもりが感じられる。「俺が俺が」という、直接的な差し出がましさはそこにない。(中略)暖炉の火の前で、古く懐かしい手紙を読んでいるときのような静かな優しさ、懐かしさが潜んでいる。
そういう感じは、氷を入れて飲んでも確かに感じることはできる。
騒々しい賑やかなバーではなく、家で静かに飲みたくなるウィスキーだ。

最高に楽しめる方法をみすみす捨てている、という意味では確かに邪道かもしれない。
でも、いいじゃないですか。そのクセが抜けた味が大好きなんですから、それはもう好みの問題でしょう。
だから「わかってないなあ〜」みたいな顔で憐れむのは避けて頂けると嬉しい。


でも、スコットランドに行って飲む機会があったら、多分頑張って水割りで飲むと思うけど。