2013年4月14日日曜日

とりあえず、読み終わった。多崎つくるの巡礼の年

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』


読み終わりました。

金曜の夜に購入。
寝る前に読み始め、土曜の夕方~夜に再開、そして日曜の朝に読み終わりました。
週末にサクッと読み終わるのはいつもの通り。

今回は月が2つあるわけでもなく、カーネル・サンダーズが啓示を与えるでもない、ワリと現実路線の作品でした。
発売前はタイトルがいきなり謎でしたが、読み始めて30秒くらいでだいぶ解決します。
『多崎つくる』が主人公の名前でした。
初期三部作に戻ったような「喪失と孤独」がメインテーマであり、それでも昔の小説とは全然違う文章を展開する、さすがのハルキワールド。

もう50万部くらい本屋に並んでいて、結構売り切れ続出みたいな情報が流れてきます。
ウチの近所の本屋も売り切れていました。Amazonも然り。

発売前にはタイトル以外の情報は殆ど出て来なかったので、数十万人のほとんどは「作者名」と「タイトル」だけで購入したのだと思われます。定価は1,700円+消費税。

『1Q84:Book3』 ならばBook2が、続きが気になるクリフハンガーな展開で終了したため、発売と同時に売れるというのも良く理解出来ますが、タイトルと作家の名前だけでこれだけ信頼されるのも凄いね。ちょうど宮崎駿監督が、「もののけ姫」や「千と千尋」でとりあえず作品作れば客は観に行く状態だった頃と、同じ感じでしょうか。

正直、万人受けするようなタイプの作品でもない気もする。
ハルキ中毒にまだなっていない人の感想をぜひ聞いてみたいものだ。
彼らは次作もまた発売と同時に買いに走るのだろうか?
(僕はそこまでブームは続かないような気がする)


***

物語の終盤、こんな内容の話がちらっとでる。

『90年代、新宿駅のラッシュアワーで階段を下る人々が、下を向いてみんな暗い表情をしている写真が米国の新聞に取り上げられた。それは裕福であっても不幸そうな日本人を描いた写真として有名になった。でも、階段を下る時って誰だって下を向くよね(じゃないとあぶない)。

それってフェアじゃないよね、というような内容だが、これは前に読んだことがある。
『やがて哀しき外国語』だったと思うが、彼自身のエッセイだ。
自分自身のエッセイの焼き直しを物語の終盤に差し込むのも珍しく、ちょっと印象に残っている。


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